ニッケル合金とは? そもそもニッケルってどんな金属?ニッケルの基礎知識をご紹介します

ニッケルとは

ニッケルとは、遷移金属のレアメタルの一つで、原子記号はNi、つまり鉄族元素のひとつです。日本人にとって最も身近な存在は50円玉です(余談ですが、アメリカでは5セント硬貨にニッケルが使われていることから、会話で「ニッケル」と言うと5セント硬貨を意味します)。そのほか、ニッケルを含んだ材料は自動車、スマートフォン、医療、建築など我々の生活のあらゆる場面で活躍しています。

ニッケルの特徴

ニッケルが選ばれる最大の特徴は他の金属に比べて錆びにくいことが挙げられます。特に淡水や海水に対しても腐食しにくい性質を持ちます。錆びている50円玉をあまり見たことが無いのはその強い耐腐食性が所以です。

さらに、ニッケルの特徴は腐食性のみにあらず、シルバーに輝く光沢、加工のしやすさ、高温・低温どちらでも優れた耐熱性を持ちます。これらの理由からニッケルは鋼の合金及びメッキ材料として利用されます。

当然、その歴史も古く、かつて世界の中心であったヨーロッパでは洋食器、貨幣等にも使用され人々の生活を支えていました。こういった背景からか、今も主要な取引はロンドン金属取引所で行われます。その取引総額は毎年約5%ずつ増加傾向にあると言われ、その需要の多くは今も飛躍的な成長を続けるアジア新興国です。さらにニッケルは、リサイクルし再利用することが可能で、SDGs持続可能な社会に求められる金属と言えます。

 

 

ニッケルの産地

ニッケル鉱石には2種類存在し、硫化鉱と酸化鉱があります。硫化鉱の産出国はロシア、カナダ、オーストラリア、中国などです。特に最近では安価な中国産の存在が大きくなっています。一方で、酸化鉱は、インドネシア、フィリピンなどの熱帯諸国です。

ニッケル合金とは

ニッケルの最大の特徴であるその耐腐食性に加え、加工性や耐熱性など用途によって異なる金属と合金した材料のうち、ニッケル成分比が50%をこえるものを一般的にニッケル合金(ニッケル基合金)といいます。一言でニッケル合金といえど、その種類は数千とも言われ、代表的なものではニッケルクロム、ニッケル鉄、ニッケル銅などがあります。用途に応じ、材質選択が行われます。

ここではいくつかのニッケル合金をご紹介致します。

純ニッケル

純ニッケルとはニッケルが99%以上含まれる純金属を指します。アルカリ溶液などにも優れた耐食性を持ちます。そのため、優れた特性を持つニッケル合金は多数存在しますが、特に化学分野ではそれと並ぶ材料として選定の候補に挙がります。

ニッケル鉄合金(Ni-Fe)

言葉の通り、ニッケルと鉄から出来る合金です。例えば半導体分野では、ニッケルの含有量が35%-80%とされるパーマロイ、鉄に36%のニッケルを加えたインバー、42%を含む42アロイなどがこれにあたります。

ニッケル銅合金

ニッケル銅合金とは、その名の通り銅を含むニッケル合金です。ニッケルに銅を添加することで、ニッケルが本来持つ耐食性や耐熱性に加え、強度や耐摩耗性が強化されます。そのため、海水を含む配管としも活躍しています。また、我々の生活に最も身近なのは100玉です(銅75%, ニッケル25%)

ニッケルクロム合金

ニッケルクロム合金とは、ニッケルにクロムを添加させた金属です。用途は、例えば、クロムを10~30%程度添加させたものは耐熱性が良く、電熱線として活躍しています。別の例では、影で我々を支えるねじもまたニッケルクロム合金であるニクロム、インコネルなどから出来ています。

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