ガラスクロスって何?どんな種類があるの?加工や用途は?

織り機イメージ

 

「ガラスクロス」とは

ガラスクロスとはガラスヤーンを用いて製織される織物の事を言います。

代表的な用途は建築資材として保温・保冷工事用の断熱材や吸音材として使用されるグラスウールやロックウールの飛散を防止するためその表皮材等として使用されます。

使用される場所は様々で、オフィスビルや商業施設、工場等のプラントや各種発電所で使用されます。

普段見えない所でも産業や人々の暮らしを支える役割を担っています。

また建築資材用途に比べさらに薄手のガラスクロスはプリント配線板の基材として

使用され多種多様な電子機器で用いられています。

ガラスクロスの製織前の「重要な準備工程」

ガラスクロスを製織する前段階工程として、整経工程があります。整経工程では、製織時に使用されるタテ糸を準備する工程で、整経機からタテ糸をビームに巻き取ります。タテ糸が巻き取られたビームを織機に設置して、製織を開始します。この整経工程で、ガラスクロスの幅と密度が決まります。

ガラスクロスの「折り方の種類」(織物組織)

ガラスクロスは製品に求められる用途によって、各種の織り方があります。

平織 最もよく使用される基本的な織り方で、タテ糸とヨコ糸を1本ずつ交互に交差させる織り方が特徴の織物組織です。表面張りガラスクロスやその他多数の用途に用いられます。
綾織 タテ糸が複数のヨコ糸をまたぐ織り方で。表面に斜線の模様が見える織物組織です。平織にくらべ密度を多くする事が可能で、生地に厚みを持たせる事ができます。断熱ガラスクロス等に使用されます。
朱子織 綾織よりさらに柔軟性があり複合材料(FRP)用クロス等に使用され、釣り竿やポール等曲面が複雑な成形品に適する織り方です。その他にシリカクロスにも使用されます。
絡み織 2本のタテ糸に1本のヨコ糸を絡み合わせる目ズレしにくい織物組織です。目が粗くなる織り方でシート、目地テープ等の補強用クロスに使用されます。
摸紗織 ヨコ糸とタテ糸をそれぞれ数本ずつまとめて、織るので目ズレしにくい特色があります。アルミ濾過用クロスに使用されます。

ガラスクロスの「各種処理加工」

ガラスクロスが使用される用途や環境により各種処理加工が行われます。

目止め処理 ガラスクロスの表面保護やほつれ、目ズレの防止のため目止め処理が行われます。また生クロスと比較して、取り扱い性が向上します。
撥水処理 ガラスクロスに撥水剤を浸漬し、水分を弾く機能を付与する加工を行います。
着色処理 ガラスクロスに灰色と黒色の着色処理が可能です。
ヒートクリーニング処理 ガラスクロスに用いられる糸(ヤーン)には収束剤が付いています。ガラスクロスの製織後に行われる様々な処理において、収束剤が邪魔になる場合があります。そこで、ガラスクロスを焼成し、収束剤を除去する加工を行います。
シラン処理加工 ヒートクリーニング処理後に樹脂との相溶性を高めるため、各種シランカップリング剤をクロスに付与します。
アルミ箔貼り加工 ガラスクロスの表面にアルミ箔を貼合します。一般的なアルミ箔の他、アルミ蒸着フィルムやアルミ粉を貼合した製品もあります。用途は焼却炉等の排気管、溶鉱炉、船舶用内燃機関の被覆・高温場所の養生や、空調用ダクトの継手に用いられます。
コーティング加工 シリコーンやPTFE、塩ビ等の樹脂でコーティングします。表面に樹脂をナイフコートしたり、フィルムを貼合したりする他にガラスクロスを樹脂に浸漬させる方法等があります。使用される場所は空調用ダクトの継手、断熱ジャケット、膜材料、火花よけシート、テント等に使用されます。