トルエンジイソシアナート(TDI)とは?そもそもトルエンとは?

トルエンジイソシアナートとは

トルエンジイソシアナート(TDI)とは主にポリウレタンの原料として使われる化学物質で、無色透明の液体です。原料はトルエンです(そもそもトルエン/ナフサって何?という方は「そもそも樹脂ってなに」をご参照ください)。主な用途はポリウレタン製品、例えば自動車のシートや、新幹線の塗装など多岐に渡ります。もともと、トルエンジイソシアナートの原料となるトルエンは揮発性が高く(つまり液体が常温で気化しやすい)、その性質を利用して接着剤や塗料の原料として普及しています。国内では主に、中国、韓国、米国、ドイツ、国産が取引されています。芳香族炭化水素に属する有機化合物に分類されます。

芳香族ってなに?

トルエンとは芳香族炭化水素と分類され、その名の通り、芳香性を持つのが一般的です。芳香族系化合物は人体に有害なものが多く、発がん性を持つ場合もあります。

そもそも、なぜ芳香族という複雑な名称が使用され始めたかは、歴史をさかのぼる必要があります。19世紀前半、有機化学とは植物から天然の化合物を抽出することでした。ウィンターグリーン油(別名「チェッカーベリー」と呼ばれる赤い実をつけるツツジ科の植物。実の香りは刺激性が強い)、桂皮(けいひ)油などが挙げられます。

それらは刺激のある匂いをもつことから芳香族化合物と呼ばれていました。のちに、その芳香の正体がベンゼンであることが発覚しました。従ってベンゼンに近い性質を持つ化合物を総称して芳香族化合物と呼ばれる始めたと言われています。

自動車用途としてのトルエン・ポリウレタン

上述の通り、トルエンの主な用途はポリウレタン製品です。特に、自動車にはそのポリウレタンの持つ沢山の特徴が活かされています。例えば、内装材では、シート,ヘッドレスト,ハンドル,フロアカーペット,ガラスマットで補強された内装天井,トランクルームの床材などです。さらにポリウレタンは、温室効果ガス削減や大気汚染対策、さらには熱マネジメントの観点から、自動車の軽量化・断熱効果に貢献するとして注目を集めています。