光電子増倍管とは?その原理、用途に迫る

光電子増倍管とは?

光電子増倍管(こうでんしぞうばいかん、PMT : photomultiplier tube)とは、光を電気信号に変換する光電効果を利用した電子増幅装置です。

光が光電子増倍管の光電面に当たると、光電子が放出されます。この光電子は、光電子増倍管内部の一連の電極によって加速、増幅され、電気信号に変換されます。

用途

光電子増倍管は非常に弱い光を検出するために使用され、高感度の光検出器として、天文学、核物理学、医療画像診断、バイオテクノロジー、環境モニタリング、スペクトル測定、時間分解光学、光ファイバ通信、レーザー測定、分光光度計など、非常に多くの分野で使用されます。

例えば、大気汚染物質であり、光化学スモッグの原因ともなる窒素酸化物(NOx)の濃度を測定する計測器です。また、素粒子原子核実験における物理現象の信号読み出しでも光電子増倍管は使用されており、さらにはノーベル物理学賞受賞をもたらした巨大実験装置スーパーカミオカンデの検出器も光電子増倍管で構成されています。

その他にも、光電子増倍管は化学・環境・医療の各産業界や、高エネルギー物理実験といった広範な領域で使用されています。

天文学 宇宙線検出器、ガンマ線検出器、宇宙望遠鏡など
核物理学 放射線測定器、粒子加速器、核反応解析など
医療画像診断 放射線画像検出器、放射線療法、放射性医薬品の測定など
バイオテクノロジー 蛍光顕微鏡、フローサイトメトリー、DNAシークエンシングなど
環境モニタリング 大気中の微量物質の測定、オゾン層のモニタリング、海洋学の研究など
光電子増倍管の利用例

光電子増倍管の今後

光電子増倍管の需要は、今後も高まることが予想されています。

健康や医療への社会意識が高まったことや、世界経済のDX(=デジタル・トランスフォーメーション)の加速は業界の追い風になっていますし、新型コロナウイルスの流行を受けてオンライン診療が注目され、病理診断のためのAI(=人工知能)の活用も目指されています。

こうした変化は、光電子増倍管で構成される高精度の検査装置への需要を高める一因となることでしょう。

現在の世界経済では、DXへの対応のために半導体の生産が増加し、製造装置や検査装置への需要も高まっています。

また環境面でも世界中の関心が高まっていることから、水質や大気汚染の分析と温室効果ガスの排出モニタリングなどの分野で使用される各種計測器の数は増え、光電子増倍管の精度や需要はますます高まりそうです。

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