ヒューズとは?その仕組みや構造、役割は?ヒューズ管の材質の違いは?

ヒューズとは

ヒューズとは、100年以上前にエジソンによって考案されたとされる、電気回路に過大電流が流れたとき、自ら溶断して回路を遮断して、機器を保護する部品です。

ヒューズには、温度によって動作する温度ヒューズがありますが、ここでは一般的に“ヒューズ”と言われる電流ヒューズに関する説明を掲載します。

ヒューズの構造

ヒューズは以下に示す部品で構成されています。

ヒューズホルダ ヒューズリンクを保持する金具部分です。
ヒューズベース、クリップ、端子などで構成されます。
ヒューズリンク ヒューズエレメントを内包した部品。
いわゆるカートリッジ部分です。
ヒューズエレメント 可溶部(過電流で溶ける部分)のことです。
この部分の構造、材質、形状を選ぶことで各種の溶断特性に対応します。
ヒューズの構成要素

これら全てを含めてヒューズと呼びます。いわゆる“ヒューズ”とは、このようなシステムを指し、遮断特性によってはヒューズエレメント周囲に消弧剤を含むこともあります。また、“ヒューズエレメントが溶断する”ことを指して、一般的には“ヒューズが切れる”といいます。

ヒューズの役割と仕組み

ヒューズは、回路の異常状態(短絡や過負荷など)による過電流によって機器が危険な状態になることを防止する目的で使用されます。その為、ヒューズエレメントには、融点の低い金属を使用しています。その金属に流れる電流によってジュール熱が発生しますが、そのヒューズの定格電流値を超える電流がヒューズに流れると、金属の温度が上昇することによって溶融して回路を遮断します。

以下は、ヒューズエレメントが電流によって溶断に至る過程です。

定常電流 熱はエレメントに均等に伝わります。
過負荷 電流値が増えると、エレメントの中央から熱が上昇し広がります。
溶断 溶断する電流に達すると、熱でエレメントが溶断してしまいます。

この溶断時に発生するアークが電源電圧を分担するので、回路の印加電圧は一時的に低下し、異常電流の増加が抑制されます。この作用を限流作用といいますが、ブレーカにはこの限流作用はありません。

ヒューズエレメントは、鉛、スズ、ビスマス、カドミウム、銀、銅などを組み合わせた合金で、組成の配合により、融点を70~100℃間の値にもたせることができます。

ヒューズは、このように温度上昇(異常温度)を検知して動作しますので、ヒューズエレメントの構造(発熱量、熱時定数)によって溶断特性は変わります。

ガラス管とセラミック管の違い

管の材質による管ヒューズの種類には、ガラス管ヒューズとセラミック管ヒューズがあります。

ガラス管ヒューズは最も一般的な管ヒューズです。管が透明のガラス製で、内部のヒューズエレメントが目視でき、溶断などの状態が外からわかります。

セラミック管ヒューズはガラス管よりも遮断容量が高いという特徴があります。

ガラス管・セラミック管ともに、溶断する際に発生するアーク放電を抑える消弧剤が管内に封入されたタイプもあります。